良い建物を安く建てたいと願う人へのメッセージ
魑魅魍魎-山や川の怪物。さまざまのばけもの。
260床のT病院の入札の巻
地方都市の260床の中核病院。
設計の経緯から話しますと、そもそも建主の決めた建設費というものは25億というモノでした。
当社がコンペで選定されてから、病院建設構造に免震構造必須という条件が明らかにされました。
後出しジャンケンみたいなモノでした。
当社がコンペで提案したのは、中核病院で60㎡/床を目標としていたので、
260床では15600㎡となり、建設費の概算は28億3千万(60万円/坪)となります。
因みに、当時、地方の市立病院(官公立病院)の建設予算は135万/坪で100㎡/床
これで計算すると260床で106億円程度となります。
建設予算とは約3億3千万の解離がありました。
しかし、実施設計が進み
鉄骨造10階建て免震構造。延床面積15,691㎡。
落札予定価格は25億のまま。
日本の大手建設会社、上から順に10社までのそうそうたるメンバーを呼んでの入札。
しかし、1回目の入札の結果は38億円が最低値で、最高値は48億円。
10億の予算オーバー
その時は明らかに談合があったと思われます。
というのは、入札額がトップから順番に1億か2億という綺麗な数字の差で並んでいたからです。
予算に合わないことで、建主からもどうするかの相談。
しかも県から、参加10社を総取っ替えしての新メンバーによる再入札するよう指導がありました。
そこで、慌てふためいたのが建設会社。
その中の1社、幹事会社(談合を仕切った)と思われる会社が泣きついてきたけれど後の祭り。
総取っ替えによる再入札!
新メンバーに選ばれた建設会社は、日本の準大手といわれる建設会社5社。
免震構造の病院とバイオクリーンルーム(手術室)を建設できる技術力量を持ち合わせている業者はこの15社程度。
しかも一回目の入札で、全国建設業者ランキング1位から10位までは指名してしまった。
又、新たに指名された5社からすると思いもよらないところからの指名であり、
営業を一切してこなかった建主からの突然の指名なので、これを受注するには気合いが入って、
入札は各社、相当力が入っていた。
結果、建主希望の予算25億に対して、3億6千万オーバー。
免震構造で約3億7500万増は止む無しと進言し、それを追加予算として認めるか揉めたが
それでも、病院近代化整備費国庫補助が決まったのでそれで良しとなった。
現実に坪60万8千円で免震構造・バイオクリーンルーム手術室を持つ近代的設備・構造を持つ病院は建設できたのです。
ということで、この続きは建築的な詳細を述べる回へと続きます。