利用者に喜ばれる建物づくり 建築について

連載21-2(9)図面渡しと現場説明会

医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−21

利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり

2.施設づくりの流れと設計者の役割

(9)図面渡しと現場説明会

この聞き慣れない図面渡しと現場説明会とは

図面渡しは、当日、説明会に参加した建設業者が抱えて持ち帰ることになる設計の青焼き図面一式を渡すことです。

現場説明会は、建設地に実際にその場に赴いて、参加業者と設計者が共に立ち、具体的な周辺環境から、敷地の形態など現場を説明する事です。

選定した業者を招集して、図面渡し・現場説明会を行い、

設計図が渡されて、初めてこの見積もり合わせのスタートとなります。

見積りをフェアに運ぶために、依頼する業者は一同に集めて、

建主も出席して状況をつかんでもらいながら、設計図書、図面説明事項を渡して見積もりを依頼します。

これは、特別に何処かに先に渡してはいないこと、同じ図面で見積りをするという宣言をするようなことです。

近年はこの一同に介すること自体も、説明会後、外で名刺交換するなど、業界も手を打っているようなので、バラバラにして説明会を開くなどの工夫もしています。

先ず、図面を渡し(今回はA1サイズ400枚を超える枚数)、工事上の重要な注意点等を述べます。

図面は渡すだけで、図面枚数を確認して貰って今日は終わりです。

その上で、特に工事については、医療活動を休まず続けながらの工事なので、現地に案内してよく現場を見てもらいました。

また工事が円滑に進むように、工事の段取りや進入路、近隣の状況、工事事務所等の仮設計画等の問題点をよく説明して、建設の条件を十分に理解してもらいます。

見積もり期間は、工事内容・規模によって決めますが、

今回は、難しい仮使用申請の上、仮設工事をして、改修して、そこが出来たら移設して、

そして空いたところの改修工事、又、移設と玉突き改修・増築となることもあって

仮使用工事として別図面を作り渡して、仮設の建て方、工事の進め方を読み、解釈する

それが工期にも見積りにも影響すると予想し、1ヵ月間としました。

図面の質疑回答というのは

図面を読み取リ、数量、面積、工賃などを積算するために、

各メーカーや材料販売店などに掛け合う時間や

図面上の記載から読み取れない内容などの質疑をまとめて、おおよそ一週間後に、各業者から一斉に出して貰い

さらにその回答は今度は受け取った設計者が、3日ほど掛けて

質疑内容から、図面に現れていない材料・工法から処理の仕方までを読み取り

判断し、その内容をまとめ、必要なら追加図面も合わせて作成し、

各業者に公平になるように、共通の質疑回答書と共に渡します。

この質疑回答書の中身を見ると、各業者の見積りに取り組む姿勢が良く分かり

それが、そのまま、見積り結果に反映してくることも多いので注意深く見つめています。

こうした見積り行為をここまで厳格にするのは,一にも二にも公正な競争で見積り合わせを行うためです。

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