医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−19
利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり
2.施設づくりの流れと設計者の役割
(7) 実施設計は細部まで丁寧に
実施設計の段階では、基本的な事柄だけでなく、
各部門の細かい寸法から、戸棚•棚•ベッド•カウンターの寸法・・・等などや、
設備機器や配管、配線等の種類や位置、そして実際の工事で製作し実現していかなければならない詳細を打ち合わせして決め、それを図面に反映します。
この間に各部門ごとに、患者さんの立場、使う人の立場で細かい点まで打ち合わせして、設計図に反映させる努力を続けます。
さらにこの段階では、建物ではコンクリートなどの躯体から内装仕上げや電気衛生空調設備等の一切を含んだ概算工事費を算出し、
予算的な方向を見定めながら、最大限、設計上の予算を満足させながら要求を満たす方向で設計図をまとめ、
実際の施工前に、見積りを徴収した後、必要があれば設計を変更することにしました。
この時は、業界の不況が長引いていたため、競争によりかなり安い工事見積もりが出ると予想されたからです。
予定工事費(即ち工事予算)と工事見積書上の数値とは違いが出る場合が多いのです。
競争見積もり合わせでは特に顕著に出ることが多いのです。
しかし、敵も然る者、建設業界では競争が熾烈にならないような仕組みが作られます。
そうです。談合です。
必ず、毎年、検察に挙げられるなどしていますが無くならない物です。
弊社でも、この時は談合されたなあと思うことは多くありました。
それを破る努力をしている建設会社、設計事務所等はどの位あるのでしょうか?
弊社は、設計界において、一切談合しないと言うことで、建築士会、建築事務所協会等に中々入会できませんでしたが
閑話休題
この見積りの話ですが、予算との違いが出た場合に、建主(たてぬし)との間に設計者への信頼と評価基準との一致がないと成り立たないものです。
実施設計が進んだ段階で、建築基準法で定められた確認申請書を提出し、確認を受けます。
建築関係法規だけでなく消防法、医療法の確認も同時に受けます。
最低でも1ヵ月、場合によっては2ヶ月を超えることもあり、さらに建築センター等の建築審査機関との協議が必要になることもあります。
厳しい条件で設計しているため、法規的に条文上ではクリアしていても行政の「指導」で変更を余儀なくされたところも出ました。
日影については近隣住民への説明で納得してもらいましたが、場合によっては設計の変更を要求されることもあります。
この時も、大変丁寧に且つ慎重に時間をかけ説明し、納得を得られました。