利用者に喜ばれる建物づくり 建築について

連載15-2(3)基本構想を練る

医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−15

利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり

2.施設づくりの流れと設計者の役割

(3) 基本構想を練る

S病院の建設計画(地下1階、地上4階建て延床面積11,000㎡の大規模増改築工事)に当たっては、

まずこの病院の長期計画に設計者として参加して、

2年間の時間を掛けて、調査・分析の上、提案報告したのが次の内容です。

①隣接敷地取得含む敷地の検討

②現状建物の矛盾

③実現すべき建物のイメージ

④各病院との各部門別面積比較表等の資料

⑤敷地の概要から法的与条件の調査

⑥建設のイメージ

⑦求められる面積等の規模

⑧主要部門の階別構成

⑨概算予算

⑩予想工期

これらは建設計画の具体的な検討に入る前に、事業の目的、医療構想、資金、人事計画の概略を練る上で必要なデータになります。

建設委員会を作って

建設を推進するメンバーとして院長、副院長、総婦長、事務長など、医局から管理部まで、

全体の立場で物事を判断し意見を述べることのできる各部門ごとに責任者が選ばれ、建設委員会組織責任者委員会が作られました。

規模も組織も大きく複雑になるために、各部門の意見が反映されるように、総合的な建設委員会のほかに

各セクション・職域部門別検討委員会や建設推進事務局も作られ、

行う業務の内容、範囲、決定できる権限と事項などを明確にし、節々では全体集会で確認し、基本計画を煮詰めていきました。

基本計画の段階では、おおよそどのような建物になるのか、間取りやどのような物(医療機械等の機器・什器・備品)がそこに収められるのかなどを

たたき台と言われる平面図をもとにおおまかな全体計画から本構成まで検討します。

建設ニュースや部内報などが数多く出される

厳しい条件の中で少しでも多くの意見をまとめ、前進する努力を払われました。

ただ説明するだけ形だけの参加にとどまることをなくし、また、1人の声の大きな人によって大勢が決まるといったこともなくし、

組織の団結と総意の結集が前進を生み、建設の成功へと歩んでいると言う仕組みが出来、確実に進んでいるという実感を何度もしました。

このように民主的、組織的な取り組みが重要で、これは法人側も意図するところでした。

同時にスケジュールに沿って次着実に進めていくためには、節々に管理者側と設計者側のすり合わせと適切な判断と決断が要求されました。

わかりやすい説明で

私たちはコンピュータによるCG(コンピュータグラフィック)をこの物件で初めて作成し(今から25年前のこと)、

空から見たような鳥瞰パースやアイソメ図、室内パースなど直感的で目で見て理解しやすいプレゼンテーション(計画の提案)に取り組みました。

「図面で見せられても何が何だか分からない」

 

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