医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−32
利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり
3.納得できる設計者の選定とは
(4)設計者が戸惑う選定方式
ここ数年の傾向として、稀な例ですが、コンサルタントまでで一旦業務を終了させて、あらためて設計事務所を選定される法人もありました。
あるいは、新しいところからご案内をいただくケースもあります。
民間法人のプロジェクトで、設計者選定の案内を受けて、次のような場面に出くわすことが多くなりました。
老人福祉施設や医療・福祉センターなどの新規の事業計画を進めるのに、関係者の参加型の設計を進めようとして、
建設準備委員会などを編成した法人あるいは、法人設立準備委員会の場合です。
参加意思の問い合わせの手紙に、プロジェクトの概要書と10項目くらいの質問書が添付され 、他に設計事務所の経歴や関連資料の提出が求められます。
事前に30部の提出が求められたケースもありました。
その後の面接には、設計者側としてそのプロジェクトに予定される担当責任者となるスタッフや総括責任者の出席が求められます。
面接は30分位、30人位の選定委員が並んだ会場で5分位で序論を述べ、15分位の内容説明の後、質疑応答となります。
事前に求められた質問項目や面接は、選ばれる設計者にとってはありがたいものであり、よく考えられた質問もあります。
しかし、いずれの場合も次の点で戸惑いと懸念を感じることがあります。
①事業内容が確定されていない段階なのに、配置図、平面図、立面図、透視図等の「イメージ図」が求められること。
中には模型の提出もあります。それは、コンペ(競技設計)のやり方で、もっと具体的条件を明示された場合のやり方なのに。
②質問の意図が読み取れないもの。
③面接の評価基準が明示されていないこと。
④設計料の提示が求められること。
⑤選定の期日が明示されないこと。
不明な点は、電話での問い合わせに新たに回答が送られてくることもあります。
提出前に、責任者にお会いし、質問の場が設けられる場合もあります。