いま日本を襲おうとしている噴火と大地震の連載−5
噴火と地震-5-『巨大地震が再び日本を襲う』(木村政昭著)
5.首都圏に迫る大津波と富士山噴火のXデー
巨大地震が再び日本を襲う!首都圏に迫る大津波と富士山噴火(木村政昭著、宝島社)
これは、海洋地震学者で琉球大学名誉教授木村政昭氏の著書です。
これまで紹介した木村政昭氏の本の中では、
地震や噴火の起こる仕組みについてかなり 具体的な実例に基づいて論じられています。
今回は、この本の中でその地震や噴火が起きる仕組みを理論化したところを説明します。
注目するのは、「地震の目」理論と 「火山噴火と地震の時・空関係」です。
主に木村政昭氏の本をかいつまんで紹介することになることをお許しいただきたい。
関心を持った方は、是非手に取ってお読み下さい。
直ぐ起きる訳では無いというけれど、地震・火山の歴史では、10年は直ぐのことです。
この10年以内に巨大地震は必ず!
巻頭言より
2014年4月に発生したチリ沖地震、
そして今なお火山噴火により拡大を続ける小笠原諸島の西之島(新島も合併してしまったので西ノ島そのものになってしまった)等々。
これらは環太平洋における超巨大地震が活動期に入ったことを示す現象に他ならない。
と、木村政昭氏は述べています。
次に日本を襲う超巨大地震はいつ、どこで起きるのか。
それはこの本を読めば分かる・・・
「はじめに」では
2007年6月に開かれた「太平洋学術会議」と言う国際会議で木村政昭氏は
今後、太平洋で起こり得るマグニチュード7.5以上の大地震予測図を公表しました。
それが、下記の図です。

出典:木村政昭氏ホームページより(http://kimuramasaaki.sakura.ne.jp/site2/)
その発表(2007年太平洋学術会議)の中で木村氏は
「2,010年頃までに東北日本沖でM8を超える巨大地震が発生する可能性がある」
ということを示しました。
実は、木村政昭氏によれば当初の計算結果は、
東北日本沖にM9.2と言う巨大な地震が発生すると言うものだった。
このM9.2と言うのは並大抵の規模ではない。
過去に発生した地震で、M9.2以上に大きい地震は1960年5月21日のチリ大地震(M9.5)の1回しか確認されていません。
世界的に10指に入る大地震
1.チリ地震(1960/5/23M9.5)
2.アラスカ地震(1964/3/28M9.2)
3.スマトラ島沖地震(2004/12/26M9.1)
4.東北太平洋沖地震(東日本大震災2022/3/11M9.0)
同.カムチャッカ地震(1952/11/5M9.0)
6.2010チリ地震(2010/2/27M8.8)
同.エクアドル・コロンビア地震(1906/2/1M8.8)
8.1965アリューシャン地震(1965/2/4M8.7)
9.2005スマトラ島沖地震(2005/3/29M8.6)
同.アッサム・チベット地震(1950/8/15M8.6)
同.2012スマトラ島沖地震(2012/4/11M8.6)
同.1957アリューシャン地震(1957/3/9M8.6)
ここで、大地震の発生時期が第1群が1950〜1965(但し、1964〜69東太平洋海膨海底火山大噴火)、
第2群が2004〜2012(?)に集約できます(今のところ、大地震に限って!)。
第2群はもう収束したんでしょうか?
第1群は15年続いたと言うことでいうと2019年頃まで、未だ圏内では?
Mw9.5という値は、近代地震学の計器観測史上で世界最大であり、歴史地震を含めても最大級である。(ウィキペディアより抜粋)
そして、この地震の後、38時間後にコルドン・カウジェ山を含む4つの火山が噴火しています。

本震の38時間後に噴火したコルドン・カウジェ火山
そして、最大津波の高さは、チリのモキャ島で25.0mです。
ハワイ島のヒロで10.7m
日本の三陸海岸で6.4mの津波による甚大な被害がありました。
142名の方が犠牲になられました。
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今年はチリ地震(1960/5/23M9.5)から60年!
また1964年のアラスカ大地震の時のM9.2、これも1回しか確認されていません。
1995年に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)は、M7.3とかなり大きいものでした。
では、この予測したM9.2を兵庫県南部地震に比べると
それは実に708倍もエネルギーが大きいのです。
もし日本でM9.2が発生すれば、有史以来、2番目に大きな地震として記録され、
途方もなく甚大な被害が及ぶと考えなければならないものでした。
木村氏はおいそれとは公的に使用できるような数字ではないと言うことで
公表した図面にマグニチュード8 ±と言うことにしたのであったと言っています。
この時に木村氏がなぜ
「2010年頃までに東北日本沖にM8 ±の地震が起きる可能性が高い」
と指摘することができたのか。
それは木村政昭氏独自の分析手法の成果なのです。
それが「地震の目」理論と「火山噴火と地震の時・空関係」なのです。
「地震の目」と「火山噴火と地震の時・空関係」理論とは
これは、要約すると、大地震が発生する30年ほど前から、
震源の近くで中小規模の地震活動に変化が現れ始め、
地震発生日までの間の地震発生頻度を計測すると、ある共通するパターンが確認できる。
さらに大地震が発生する30年ほど前から、
地震の震源域から何百キロメートルも離れた場所にある火山が噴火し、
時間を経るに従って震源域に近い火山から遠い火山へと
整然と噴火するというパターンがあると言う考えである。
木村政昭氏は今までの著書で、東日本大地震を始め、兵庫県南部地震や2004年新潟県中越地震など
上記の予知法が成功したと思われる例を記してきました。
この本では、今後、日本列島の周辺で発生する可能性が高いと
予測できるマグニチュード9クラスの超巨大地震の位置、時期、震源域を明らかにしています。
以下は、次号に続く