利用者に喜ばれる建物づくり 建築について

連載35-3(7)望まれる設計者の選定基準と方式

医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−35

利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり

3.納得できる設計者の選定とは

(7)望まれる設計者の選定基準と方式

私たちの事務所は、設計者選定を、次の項目で判断していただきたいと考え、研鑽、努力しています。

設計者選定項目

①プロジェクトに対する理解力と判断力。

②プロジェクトに対する技術的アプローチの的確さ。

③設計プロセスに対して、創造的なアプローチがある。参加型の共同設計の方法と優れたプログラムを持って実践している。

④要求される仕事の管理に明確なシステムを持っている。

⑤類似プロジェクトの経験が豊富で、成果を検証活用するシステムを持っている。

⑥設計監理遂行体制が整っている。

⑦現在の仕事量とこのプロジェクトの担当体制に矛盾がない。

⑧経営体質として、設計事務所として自立している。施工業者やメーカーとの間に悪しき関係がない。

⑨何を大切にしているか、設計理念やその実行する姿勢が明快で共感できる。

⑩完成後に継続した保守管理責任体制が整っている。

⑪言行が一致している。すなわち、口先だけでなく、本当に実行しているか。

設計者に何を求めているか、質問書は明快であってほしいと希望します。

選定結果についての情報提供はしていただきたいものです。

選外になってもなぜそうなったかの選定結果を知ることが、その選定の公平さに感謝するだけでなく、

設計者としての自己の反省や次の努力目標を定めることができます。

こんな思いで対応してきましたが、

1998年の7月に、社団法人公共建築協会から 「設計プロポーザルの進め方」 が発表されました。

これは前年、建設省(現国土交通省)から委託されて提出した報告書を具体化したものです。

質の高い建築設計を実現するために、建築設計者(チーム)を選ぶ構成で最も適切な方法として

「プロポーザル方式」

のマニアルを詳細に述べたものです。 (参考:国土交通省「プロポーザルを始めよう」)

「コンペ方式」では、

最も優れた設計案を選ぶ方式として

「発注者が周到な準備により、明確な設計委託条件を整え、設計者に提示することが必要です」

「コンペ方式は準備に万全を期すことによって、素晴らしい設計案が期待できます。

こうした特性を考慮すると、コンペ方式は象徴性、記念性、芸術性を重視するプロジェクトに適した方式といえます」

と言っています。

「設計者の創造性や技術力を見るために、設計案や簡単なエスキースを求めたいとする発注者が少なくありません。

しかし、創造性は、設計者のこれまでの作品からある程度判断できることで、

エスキースを提出させて比較する事は、 その評価に当たって、その案の内容の善し悪しを論じることになりがち」なコンペ方式であり、

「あらかじめ周到に準備されたコンベア方式とは異なり、

不十分な設計条件に基づく設計案は、その後の設計を束縛することになる」として、

プロポーザル方式では設計案を求めてはいけないと述べています。

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