利用者に喜ばれる建物づくり 建築について

連載27-2(15)完成後は定期的なメンテナンスを

医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−27

利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり

2.施設づくりの流れと設計者の役割

(15)完成後のメンテナンスについて

建物が完成すると、建設の担当者から施設管理の担当者に質問が引き継がれます。

施設建設としての設計監理上の実務はこれで終わりますが、引き続き建物の維持管理の問題があります。

①財産管理上の実務

建物の竣工時に受けた引き渡し書類や図面は建主に1部、設計監理者に1部渡されています。

大切に扱い、法人の管理部全体他に分かるように保管してもらいます。

特に、竣工図は将来に備えるだけでなく、日常の保守・点検、法律上定められている定期報告のために役立たせることができます。

②瑕疵担保期間中の実務

瑕疵は建物や設備の欠点のことです。

竣工検査の後に、何らかの原因で出てくる雨漏り、水漏れ、ひび割れ等、当初提示した図面仕様に適合しない、その他、性能が著しく劣っているなどがあります。

建物の請負契約書には施工上の原因で起こった瑕疵は、一定の期間を決めて無償で治すことを明記させるされるのが普通です。(「四会連合協定の約款」参照)

一般に鉄筋コンクリート造の場合2年、付帯設備は1年となっています。

この期間後は、施工上の原因による重大な瑕疵以外は有償の手直しになります。

その瑕疵期間が切れる時点で、建主・設計者・施工者の3者立ち会いで瑕疵の期間終了前の点検をすることが大切です。

尚、瑕疵については民法が改正され施行されましたので、新たにその問題については、別項目で解説します。

③保守管理契約

建物は使い始めると、エレベーター、リフト、火災報知器、浄化槽等の法定点検が必要なものは、それぞれ保守管理会社と委託契約を結び定期点検がされます。

設備機器にしても故障時の業者頼みだけで、普段は何も管理されていない場合が多く見られます。

私たちの事務所では、設計した者が保守管理メンテナンスをすることが1番良いという観点で、

年間契約を結び、メンテナンスについての点検・定期報告・相談を行っています。

単に点検するだけにとどまらず、状況を判断して先々の手を売ったり、

改修が必要な場合も優先度、緊急度の順位をつけて改修の準備・予算の措置・手立てができます。

そのことで予算の執行が対症療法的ではなく、計画的になるなど建物を健全に保つのに有効です。

④定期点検

病院・診療所のような建物、ある用途・面積によっては、建築基準法で定期的に有資格者によって報告することが義務付けられています。

施設の実情をよく知っている有資格者の設計者に依頼することが望ましく、保守管理と合わせて委託すると業務のダブりが少なくなり、合理的になります。

⑤長期修繕計画

医療を取り巻く厳しい情勢の中で、たいていの病院が清掃や限られた設備の最低限の点検が精一杯で、

長期的に計画を立て、資金もそれに合わせるのは大変かと思います。

欠陥や事故が起こってから手を打つのではなく、健康を守る拠点として長持ちさせる観点に立つならば、専門家の協力を得て計画的に進めることが大切です。

以上、S病院の建築工事の過程を通じて、設計者がどのように具体的に関わったかを述べてきましたが、如何でしたか?

多少専門的な用語も出てきたので、難しかったかも知れません。

気軽にお問い合わせ戴ければ、お応えします。

改正民法については別記事でお知らせします

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