医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−24
利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり
2.施設づくりの流れと設計者の役割
(12)現場で行われる大事な建主との確認作業
今回のS病院増改築工事の場合は、工事の段取りとして、毎月提出される施工計画書の検討が特に重要でした。
時に、工事する側から見れば、この位は普通の工事と思っていることが、医療をする側から見れば信じられないことが現場で進行するからです。
騒音、振動、誇り、ニオイ等の作業が、いつ、どこに、どのぐらいの作業人数で、どのくらい時間がかかるかを明らかにするものです。
それによって患者さんや診療にどの程度影響があるものなのか、などが病院にとっても理解ができ、手も打てるからです。
病院での建物維持管理にあたる施設担当者が決まっている場合は、現場の施工検査等に立ち会ってもらい、維持管理者の目でチェックしてもらうことが大事です。
又、現場で建主からの要望により(これが一番多い)設計変更が発生し、それに伴う工事費の増減が生じることもあります。
そこが一度決めたら設計図通り最後まで行くという事では無く、諸官庁発注工事と違います。
工事進行につれて、建主と現場に何度も立ち入っては、設計変更もし工事修正も行い、より良い建物への追求をします。
しかし、この変更により、工事費が際限なく膨らんでいくことはあり得ません。
その都度というよりはまえも、原因と対処の行方をはっきりさせ、工事費増もあれば減も起こし、バランスをとることが大事です。
工事工程の主な時期には、職員や基盤組織の共の会や組合員等の人たちも含めて、現場の見学会をすることも大切です。
自分たちの力で建物が刻々と作られていると言う実感がわき建設運動にもプラスになるからです。
什器・備品・医療器具などの配置の確認は念入りに
コンクリートの躯体工事が始まる前までに各専門工事週ごとに提出された施工図で、現場チェックを行います。
電気設備工事ではスイッチ、コンセント、照明器具、スピーカーやマイク等々
給排水衛生空調設備工事では、給水、排水、空調の吹き出し口、吸込み口、操作盤等々の位置を詳細に決めます。
建主側からそれらには決まりがあるでしょう?と言われることが有りますが、
決まり通りでは、使い勝手が良い物にはならないから完成まで設計監理が続くのです。
一から十まで全ての物の位置とそれに関わる建築上の全ての物を関連させて、建物は使い勝手良く出来上がっていくのです。
大まかに決まっているつもりでも、実際に完成に近づいて医療器具の手配が済んでからでは遅いのです。
現場に搬入されてから、その医療器具が使えないと言うことにはならないように。
事前に全ての箇所の什器・備品・医療器具・器械が吟味されていること。
設置されて、初めて本当の意味での調整になって、完成となるからです。