今月の建築界の小話 建築について

今月の建築ニュース(11月)

今月の建築ニュース

1つ目はJR札幌駅のJRタワーイースト傍の歩道に40キログラムの飾り石が落下したと言うニュースです。

ハの字の耐震ブレースの上の縦格子(8段10列)が飾り石。今回落下したのは左側の縦格子内の左から8列目下から3・4段目(写真はGoogleマップより)

 

場所はJR札幌駅のJRタワーイースト(2003年竣工)前の歩道

9月の22日午前1時ごろです。

建物真下、ホテル日航入口の右側歩道上に石の落下物があるのを見つけた通行人が、ホテル日航に連絡し

ホテルの従業員が現地確認したと言うことです。

負傷者はいなかった模様です。

日中でも人通りが少ない場所で、しかも深夜だったと言うことも幸いだったようです。

落下した飾り石の形状は、板状の細長い花崗岩を3枚連結したもの。

1ブロックの大きさは縦82㎝横36㎝厚さ2.5㎝で重さは約20kg。

それが2個繋がっていたもの(約163㎝超で折れ曲がっていたらしい)が落下。

この花崗岩は工場で加工されたものを、現場に持ってきて取り付けたと言う

花崗岩にピン(突起物まぁ鉄筋みたいなもの)を埋め込んでおいて、

そのピンを躯体の方に付いている固定金具に差し込んで、壁に固定する仕組み。

その固定用金物にピンを差し込んで固定していなかった部位が今回の落下した飾り石。

右手が日航ホテルとタワー駐車場。真ん中正面が札幌駅。上はステラプレイス

原因は施工ミス

きっかけは2018年の北海道胆振東部地震ではないかと。

あれは最大震度7だったんですが、札幌も震度5〜6弱でした。

その影響などもあって、壁に固定されてないの施工不良により、ピンが変形し、限界に達して、抜け落ちた模様。

施工会社の鹿島により、検査すると施工図通りに固定されていなかったという箇所が複数(12ブロック)見つかった。

今現場は壁面をネットで覆ってかつ歩道側にバリケードを設けて、歩道を歩く人には危害が及ばないようになっていると言うことでした。

2番目は福岡のベルヴィ香椎(かしい)六番館という杭未達マンションが建て替えになったと言うニュースです。

29本中8本の基礎杭が支持地盤に到達していなかったと言う

このベルヴィ香椎六番館は、1995年に入居開始になっています。

入居開始直後から、外壁のひび割れや玄関扉の枠の歪みなどが発生し、

管理組合が販売3社に不具合を訴え続けてきたと言う経緯があります。

日本建築検査研究所に依頼した調査の結果を受けて、杭の全数調査を施工会社の若築建設が実施したところ

杭の未踏達が判明したものです。

販売3社のJR九州と福岡商事、若築建設は

「杭の補修」「建て替え」「販売価格での買取」

の案を管理組合に提示していたものです。

結果、この3社はマンション管理組合の6番館の建て替え決議に基づいて、建て替え。

費用は販売会社3社が全額負担することになっています。

その費用は解体・新築工事で約14億円。

その他、住人の引っ越し代や工事中の仮住まい先の家賃等は入っていないという、

総額いくらかかるのでしょうか。

3番目はトルコ沖地震ー10月30日トルコ・ギリシア沖のエーゲ海で大規模な地震が発生しました。

マグニチュードは7.0、震源はギリシャ東部のサモス島の沖合約16キロ。

死者115人、負傷者1034人。

ここでの被害が集中したのはトルコの第3の都市、イズミル。

軟弱地盤の地域に建物被害が集中し、20棟が倒壊、約3000棟超が大きな被害を受けていました。

特に倒壊などの大きな被害を受けたのは7階から10階建ての中層ビル

地震動の卓越周期が、こうした建物の固有周期に近かったとみられる。

鉄筋コンクリートの柱の中間帯鉄筋も入っていなかったりフックが直角で定着が少ないことや

コンクリートの強度が低かったことなどが建物の崩壊につながった恐れがあると

地元イスタンブール工科大学のアルベール・イルキ教授の話。

4番目は製油所の耐震化で地震動を過小評価していたと言う問題です

これは記事本文とは関係の無い石油タンク群です

指摘したのは、会計検査院。

これは南海トラフ地震などの大規模災害時の安定供給にリスクがあると言う問題です。

石油会社が、資源エネルギー庁の補助金で実施した製油所の耐震対策で、

地震動を過小に評価したケースが多く見つかったと、会計検査院が10月26日指摘したもの。

12箇所の製油所について、南海トラフ地震などの大規模災害時に石油を安定供給できなくなる恐れがあると指摘しました。

適切な耐震性能を確保するため、資源エネルギー庁へ石油会社への指導の徹底を求めた。

資源エネルギー庁などは13年に耐震対策の指針となる「製油所の耐震性能と評価の手引き」をまとめました。

その時点で地震データが13年版だったんですが、未公開だったために

暫定的に05年の地震データを用いるよう指示。

その後新しいデータが公開されたにもかかわらず対応を怠ったと言うものでした。

なんか、日本の会社ってこんなにも信頼性が低かったのかという意外なことに驚きました。

5番目はコロナ対策を考えた空調システムのことについてです。

三菱地所ホームは新型コロナ対策を強化すると言うことで、

深紫外線LEDを用いた空間除菌消臭装置を搭載した全館空調システム「新・エアロテックーUV」を開発し、受注を開始したと言うことです。

日経クロステックより転載しました。

 

医療機器メーカーの日機装は、新技術について宮崎大学医学部との共同研究により

新型コロナウィルスやインフルエンザウィルスなどの除去効果を実証済みです。

深紫外線とは、不可視光である紫外線(波長100nm[ナノメータ]から400nm程度)のうち、特に波長が短い光を指します。

同100nmから280nmの範囲が深紫外線にあたり、日本の気象庁などでは「UV−C」と呼称。

太陽の光にも含まれていて、波長が短いので地表に届く前にオゾン層で吸収されますが、

紫外線の中でもエネルギーが大きいことで、生体の破壊につながりやすいとされています。

新・エアロテックーUVは全館空調システムに深紫外線LEDを用いた「新・ UVクリーンユニット」を付加したもの。

空調システム室内機と屋内吹き出しダクトの間に取り付けます。

フィルターを深紫外線LEDで照射して光触媒作用を生じさせ、空気を除菌・消臭するものです。

設置費用の目安は、延床面積約137㎡のモデルプランに搭載した場合で253万7000円(税別)といいます。

最後はトピックス「富岡製糸場を使える国宝に」

いずれも改修前の写真です。

 

富岡製糸場は世界遺産の1部ですが、国宝「西置繭所(にしおきまゆしょ)」の保存修理が完了したというものです。

明治初期の「木骨レンガ造」をそのままに、耐震性を向上させてギャラリーやホールなどの利用空間を確保したものです。

世界遺産として「富岡製糸場と絹産業遺産群」が登録された14年、文化庁は

繰糸所と2棟の貯繭施設を国宝に格上げしています。

これまで西置繭所の内部は一般公開しておらず、見学できない状態でした。

富岡製糸場は1872年創設された時に、まず完成したのが、東西2棟の「貯繭施設」と「繰糸所」です。

その建物の内、西置繭所を保存修理プロジェクトとして整備計画を起ち上げた。

文化財を傷めず内部補強をする

どういうやり方をしたかというと、

「ハウス・イン・ハウス」=文字通り家の中に家を作るというもので

産業遺産保護が盛んな欧州で始まった手法。

今回の富岡製糸場の保存修理プロジェクトでは、

内部に基礎を増設し、基礎梁を含む鋼製の補強フレームを構築しガラスで覆い、床を仕上げています。

残念ながら未だ見に行っていないので、写真は後日に。

2010年の日記(酒田ひまわり薬局出張)から

この日本が明治になって富国強兵策で外貨を稼ぐ時に中心となった産業が何だったのか

生糸だったのである。

外貨を稼ぐのは生糸しかなかったと言うから驚き。

明治から昭和の初めにかけて外貨の半分を稼いだとされる生糸。

高崎を通った時にここから上州富岡製糸場は近いなあと思った。

そして、この富岡製糸場はフランス人のポール・ブリュナが関わり設計は同じくフランス人のエドモンド・A・バスチャンが手がけたとされる。

構造は木(柱・梁などの主要構造部)で壁をレンガで積んだ「木骨レンガ造」であった。

我が国初の官営工場は出来て、明治5(1872)年に操業を開始したとある。

それから1年後の明治6年(1873年)にウィーン万博に派遣された佐々木長淳が絹糸紡績工場の建設を上申。

佐々木が建設を統括し実施設計をウィーン万博日本館の建設に携わった大工で建築家の山添喜三郎が担当した。

佐々木長淳は我が国に西欧の進んだ養蚕技術を紹介した最初の人である。

明治6年ウィーン万博に派遣された彼は、 帰途各国を回り、養蚕の最新技術を習得した。

折しもヨーロッパでは微粒子病が蔓延(まんえん)、養蚕は壊滅状態にあった。

蚕種・生糸の輸出を求められた明治政府が、養蚕振興に力を入れ

長淳の訪欧はこうした政府の意図によるものだった。

建築面積:1486.6㎡(449.7坪)

構造:木骨レンガ造

階数:地上2階建て

国宝指定:2014年12月10日

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