利用者に喜ばれる建物づくり 建築について

連載20-2(8)施工業者の選定

医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−20

利用者に喜ばれる医院・病院づくり 第1章 納得しながら進める医院・病院づくり

2.施設づくりの流れと設計者の役割

(8)施工業者の選定は基準を明確に

実施設計が終盤にかかると、施工業者の選定をします。

先ず、発注方式ですが、特に慎重に決める必要があります。

発注方式には、入札式と見積り合わせ方式があり

入札は、最終請負価格だけを一枚の紙(札)に書いて提出します。

入札方式は、札だけなので、どんな内容で見積もったのか、合理的に見積もられたのかは分かりません。

談合が成立しやすく、企む業者にとっても都合が良いと思います。

競争見積合わせは、各社が見積書(数百頁に及び、その最初の頁には見積り金額の総合計が書かれている)を出します。

選定する側は、見積もった内容から、施工業者の力量から、本当にこの工事を取りたいと思っているか熱心なのかが分かります。

建設委員会で発注方式を検討してもらいました。

このS病院増改築工事では、競争見積もり合わせとしました。

建設業界という所は、理解しにくい複雑な状況がたくさんある

建設業界は昔からの古い体質があり、受注競争が激しい状況の中、

談合や設計者・建主の抱き込み(?)

のような因習から抜けきれていない状況があるので、まずその実態を説明し、理解してもらう努力をしました。

何らかの理由で設計図が前もって施工者に渡ってしまい、その施行者がチャンピオンシップを握ってしまい、他の業者は、手を引かざるをえない状況を作られたことや、

図面渡し・現場説明会等で競争相手が一同に介してしまい、談合が仕込まれてしまったこと、

どこかで「天の声」(これが1番分かりにくい)が出されて一番の業者が前もって決まっていたなどの経験を話しました。

本当に、設計者を取り巻く環境にも、建主を取り巻く環境にも様々な笑うに笑えないことが沢山有ります。

参加希望業者からは、前もって見積もり指名願いを出してもらいます。

見積もり指名選定基準

過去の指名停止の状況(これが意外に多くて、多くの業者が脱落してしまうこともある)

談合癒着の事実の有無(これも隠している業者があるので、徹底的に調べる)

建主(似た医療施設、医療機関組織)への過去の建設実績

経験、技術者数、経営審査点数、完工高(官公庁へ必ず提出している入札参加申請書指名願い書で分かる)

などから合格点を満たしたものを選定しました。

このS病院では、指名参加願いを出してきた建築、電気設備、機械設備合わせて20社の中から13社を指名しました。

衛生・空調・電気の設備工事は建設業者への一括発注とするか、分離発注とするかも検討しました。

一括発注と分離発注方式の問題

厳しい建築工事費が設備施工業者にシワ寄せをし、元請け工事会社が満足な施工管理もしない恐れもあると判断し、一括・分離発注方式(コストオン)としました。

これは発注者があらかじめ衛生・空調の機械設備、電気設備、昇降機工事等の設備業者だけを別に競争見積もり合わせをして選定しておき、

その決められた各設備工事ごとの設備工事費と元請け建築工事会社の設備管理経費分を上載せして

建築業者にまとめて請け負わせるもので、経費は限りなく透明になり、

分離発注方式故の工事責任範囲の煩雑さは設計事務所が常駐監理を行うことで解決しました。

コストオン方式はまた別の機会に。

これらの事は、実際にはいろいろな条件があり、その都度、建主と設計監理者が協力し合い、

専門的な裏付けと組織的な検討によって決定することが重要です。

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