医院・病院を新築・増改築・改修しようとしている方に役立つ建物づくりの連載−序
利用者に喜ばれる医院・病院づくりー書評と紹介
評者:辻 吉隆氏(厚生省大臣官房会計、厚生省保険医療局国立病院部経営指導課-所属機関・肩書等は当時)
[病院59巻8号70頁]【書評と紹介】記事より
「だれのための、なんのための病院づくりか」をわかりやすくアドバイス
病院の計画においては、まず適切で安全な医療環境(clean hospital)づくりが求められる。
日々進展する医療や看護、感染防止管理に対してその根拠を検証しながら速やかに対応をしていくことが必要となる。
また同時に環境に優しく、人に優しい療養環境(green hospital)づくりが必要である。
しかし、これらの要件には相反する事項が多く、評価軸の違いによっては正反対の道を選ぶことになる。
だれもが同じ評価軸を持っていることはあり得ないので、どちらかの方向で妥協し、決断をしながら計画を進めていくことが必要とされる。
開設者やスタッフ、施設利用者などが納得し価値観を共有できるように、設計者は舵取りが役割となる。
本書のなかで中央設計の医療施設チームは、計画者として携わる設計者や開設者、スタッフなどがそれぞれ納得し共感できるように、
相反する各要素などについて施設利用者の視点から、わかりやすい言葉で明快に解説している。
まず、施設づくりの流れと設計者の役割について解説し、施設利用者を含めた関係者とともに納得しながら進める病院づくりの重要さを提唱している。
それに引き続き本文では、医療環境計画の部門ごとの要点を、豊かな経験と知識に基づいて解説している。
各項目の解説のなかに、中央設計の心のこもった手作りの設計姿勢がみえてくる。
本書は医療施設計画に新規に取り掛かろうとする設計者や開設者の参考図書となるばかりでなく、
医療施設計画の熟練者にとっても、施設計画関係者の評価軸の共有化を図るうえでの貴重なガイドラインとなることであろう。
(つじ よしたか 厚生省大臣官房会計、厚生省保険医療局国立病院部経営指導課-所属機関・肩書等は当時)
有り難うございます。
当時、小難しいと言われるんでは無いかと、気をもんでいたのが勇気100倍、元気づけられた記憶があります。
古い、記事ですが、創り方における方法及びその精神等は変わっていません。
是非、ご参考にして下さいますように、お願い致します。