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地下駐車場における二酸化炭素消火器の誤作動事故について

事故の経過

4月15日午後5時ごろ、東京都新宿区下落合のマンション地下駐車場に人が閉じ込められていると通報があった。

警視庁などによると、20~50代ぐらいの男性6人が取り残され、うち1人が自力で脱出。

5人が救助されたが4人の死亡が確認された。1人は意識不明の重体とみられる。

捜査関係者によると、地下駐車場では午前中から、腐食していた天井の石こうボードの張り替え作業が行われていた。

閉じ込められた6人はいずれも作業員。

この地か駐車場には、火災が起きた場合に二酸化炭素(CO2)を放出して消火する設備があり

それを何らかの理由により誤って作動させたため、シャッターが閉まり二酸化炭素が充満したとみられる。

火災報知器は作動しなかった。

自力で脱出した男性がマンション1階にいた現場責任者に助けを求め、この責任者が通報した。

東京消防庁によると、消防隊員が現場に到着した時点での駐車場内の二酸化炭素濃度は21%で、通常の数百倍だった。

事故で、死亡の原因となった消火設備が二酸化炭素を放出する直前、熱と煙を検知していたことが捜査関係者への取材で判明した。

張り替え工事中に熱や煙が出ていると設備が誤って認識した可能性があり、警視庁が詳しい経緯を調べている。

現場の状態

捜査関係者によると、現場の地下駐車場の天井には検知器が計12カ所(熱8カ所、煙4カ所)あった。

捜査1課が設備を調べたところ、熱に続いて煙も検知したため、火災が発生したと誤認して、二酸化炭素が放出されたとみられる。

駐車場内には熱や煙を発生させるようなものはなかったが、天井板の交換には検知器を外す必要があり、

工事中は複数の検知器が配線につながったまま、つり下がっている状態だった。

通常よりも誤検知しやすい状態だった可能性がある。

この設備は二酸化炭素を放出して空間内の酸素濃度を下げ、火が燃え広がるのを防ぐ仕組みになっていた。

設備を起動させるには手動で地上にあるボタンを押す方法もあるが、押された形跡はなかった。

設備の電源を切れば、誤検知を防ぐことができたとみられるが、作業員らは電源が入ったまま作業をしていた。

電源の切り替えは通常、二酸化炭素消火設備を取り扱う消防設備士などの資格者が行うが、

今回の事故では総務省消防庁の通知に反して配置されていなかったという。

二酸化炭素を放出するタイプの消火設備は、水や泡の消火剤に比べ、使っても周囲が汚れないメリットがあるとされ、

ビルの駐車場などに幅広く使用されている。

ただ、密閉された場所で使われた場合、現場にいる人たちが酸欠状態に陥るおそれも指摘されている。

似た事故

二酸化炭素消火設備をめぐっては、1月にも東京都港区西新橋のビルの地下駐車場で、点検作業中の男性2人が死亡している。

同じ設備が誤作動を起こした可能性があり、警視庁は詳しい原因を調べている。

捜査状況

警視庁捜査1課は20日午前、業務上過失致死傷容疑で、作業を請け負った「株木建設」の東京本社(豊島区)など2カ所を家宅捜索した。

関係資料を押収し、作業上の安全管理措置が十分だったか捜査を進めている。

その後の捜査で

避難した男性は「他の作業員が感知器のカバーを取り外して戻すのを見た」と話しているという。

現場には、消火設備について専門知識がある消防設備士なども立ち会っていなかった。

捜査1課は地上にいた現場責任者らから事情を聴き、当日の人員配置などに問題がなかったかも調べる。

相次ぐ二酸化炭素消火器の誤作動事故

地下駐車場では、作業員らが消火用の二酸化炭素ガスを吸い込んで死亡する事故がこの半年の間に相次いでいるという。

ではなぜ、そんな危険な消火設備を使用するのかと疑いたくもなるが、

「自動車のガソリンに引火した際の消火に効果的なため、地下駐車場に設置されることが多い」。

また、消火設備では安全性が高いと言われる窒素を使うものなどもあるが、ボンベの数が増えてコストが高くなってしまうほか、

フッ素系の薬剤が使用さ れている「泡消火設備」では、消火後に車両に付着した泡が落ちにくいなどの難点もあるため、二酸化炭素を放出するタイプが増えているという。

世界で脱炭素の流れが加速しているが、自動車の電動化の議論も大切だが、身近な地下駐車場などで使われるCO2の安全対策の見直しも喫緊の課題だろう。

二酸化炭素を放射する不活性ガス消火設備とは

○ 噴射ヘッド:放射された消火剤が防護区画の全域に均一に、かつ、速やかに拡散するこ とができるように設けること。 

○ 放射圧力 :高圧式・・・1.4MPa 以上 低圧式・・・0.9MPa 以上 

○ 消火剤の量:防護区画の体積が 50 ㎥未満 ・・・・・・1.00kg/㎥ 

防護区画の体積が 50 ㎥以上 150 ㎥未満・・0.90 kg/㎥(総量 50kg 以上) 

防護区画の体積が 150 ㎥以上 1500 ㎥未満・0.80 kg/㎥(総量 135kg 以上) 

防護区画の体積が 1500 ㎥以上 ・・・・・0.75 kg/㎥(総量 1200kg 以上) 

*防護区画の開口部に自動閉鎖装置を設けない場合は開口部の面積 1 ㎡あた り 5kg を加算 

○ 放射時間 :1分以内に全量を放射 

○ 起動装置 :原則手動式(常時人がいない施設では自動式も可) 

1)火災の覚知 

2)操作箱の扉を開ける。(退避の警報を発する) 

3)内部の人の退避を確認し、操作箱の押しボタンを押す。 

4)起動用のガスが放出し、消火用のガスが放射される。(ダンパ閉鎖) 

5)ガス放出警報を発する。 

不活性ガス消火設備とは

不活性ガス消火設備は、消火剤がガスの為、消火後の汚染が少なく、電気絶縁性と冷却効果に優れている。

その為、電気室や美術館、精密機械、電気通信機室等に設置されるもので、消火剤による汚損が少なく、復旧を早急にすることが必要な施設に設置されるものです。

 

 

不活性ガス消火設備には上記のように、火報連動・手動起動の双方で消火剤が放出不可能になった際、直接放出する手段もあります。

動作フロー

動作フロー
1. 操作箱の扉を開くと、退避警報を発する。
2. 内部の人の退避を確認する。
3. 操作箱の押ボタンを押す。
4. 必要に応じて、シャッターの閉鎖、換気ファンの停止、対象物の機器の停止などが自動的に行なわれる。
5. 容器弁ソレノイドが作動する。
6. 起動用ガスが放出して、そのガス圧力で選択弁が開放され消火用ガス容器弁も開放される。
7. 消火用ガスが放出し、そのガス圧力でダンパーが閉鎖される。
8. 圧力スイッチが作動して、ガス放出警報を発する。

注意事項

不燃ガス消火設備(特に二酸化炭素)のうち全域放出方式では、

人体に対する毒性の許容濃度をはるかに越える量の二酸化炭素を区画内に放出するため、

消火設備の誤作動等により死傷者を出す事故が繰り返されてきました。

全域放出方式の二酸化炭素消火設備の設置使用に当たっては、十分な安全対策を講ずることにより、人身事故を防止しなければなりません。

(出典:二酸化炭素消火設備を扱うメーカーホームページより)

二酸化炭素の消火作用

二酸化炭素は、熱容量の大きい気体で、一般の火災に対しては化学的に不活性である。

従って、二酸化炭素消火剤の消火作用 には、

①燃料と空気の混合によって形成される可燃性混合気中の酸素濃度を低下させ、燃焼反応を不活発にし消火に導く作用と、

② 二酸化炭素の熱容量で炎から熱を奪い、炎の温度を低下させ燃焼反応を不活発にし消火させる作用の二つがあり、

それらが複合し消 火効果をあらわす。

また、保存容器中に液化され貯蔵されている二酸化炭素消火剤が、放出時気化する時の蒸発潜熱も火炎の冷却 に寄与し、消火剤としてより効果的に作用する。

二酸化炭素の危険性

(1) 消火に用いる濃度(概ね 35%)では、ほとんど即時に意識喪失に至る。

(2) 高濃度(55%以上)の二酸化炭素が存在すると、酸素欠乏症とあいまって、短時間で生命が危険になる。

(3) 二酸化炭素の濃度と、一定の暴露時間により現れる人体への影響を整理すると概ね次の表のとおりとなる。

二酸化炭素の濃度(%) 症状発現までの暴露時間 人体への影響
< 2% はっきりした影響は認められない
2~3% 5~10 分 呼吸深度の増加、呼吸数の増加
3~4% 10~30分 頭痛、めまい、悪心、知覚低下
4~6% 5~10分 上記症状、過呼吸による不快感
6~8% 10~60分 意識レベルの低下、その後意識喪失へ進む、ふるえ、けいれんなどの不随意運動を伴うこともある
8~10% 1~10分 同上
10%< 数分 意識喪失、その後、短時間で生命の危険あり
30% 8~12 呼吸 同上

二酸化炭素消火設備の安全対策について(通知)ー消防庁

1996年(平成8年)消防庁から通知が出ています。

消防予 第193号 消防危 第117号 平成8年9月20日

『各都道府県消防主管部長 殿

消防庁予防課長 消防庁危険物規制課長

二酸化炭素消火設備の安全対策について(通知)

平成7年12月に東京池袋の立体駐車場に設けられた二酸化炭素消火設備の起動装置が誤って操作され、

3 名の死傷者を出す事 故が発生するなど、火災時以外に二酸化炭素が放出されたため、

被害を生ずる事例が散見されるところである。

消防庁においては、同様の事故の発生を防止するため、消防法令上の基準・通知等により種々の対策を講じてきたところであるが、

更なる安全対策の徹底を図るため、

「二酸化炭素消火設備の安全対策の徹底について」(平成 7 年 12 月 25 日付け消防予第 261 号) を通知するとともに、

「二酸化炭素消火設備安全対策検討委員会」を設置し検討を行ってきたところである。

今般、同委員会より二酸化炭素消火設備の安全対策について、別添のとおり報告がなされたので、

貴職におかれては、執務上の参 考とされるとともに、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、よろしく御指導願いたい。

なお、別添報告書に掲げられている二酸化炭素消火設備の安全対策については、

二酸化炭素消火設備の設置及び維持の技術上の 基準の見直しを含め、今後、所要の措置を講ずる予定であることを申し添える。』

と言うことで、この後長文が続くので、pdfを参照して下さい。

二酸化炭素消火設備の安全対策について(通知)

身の安全を守るために注意したいこと

二酸化炭素消火設備は、駐車場、通信機室、ボイラー室等の火災を有効に消火することのできる設備として、国内では多数設置 されています。

今回の事故は、建設(内装)工事中の事故でした。過去には、誤作動もあります。

作動した場合にどうなるのかを知っておいて下さい。

恐らく、液体二酸化炭素が気化しながら短時間で室内に充満しその濃度は30%を越えるものと思われます。

吸い込むと短時間で命の危険になる濃度です。

厄介なのは、この消火設備は、効率よく消火するために、酸素濃度を低下させて火災を消火させるという点です。

酸素濃度 を低下させ、同時に炎から熱を奪い、炎の温度を低下させることにより、

燃焼反応を不活発にし消火に導く或いは消火させる作用の複合により火災を消火する消火設備です。

しかしながら、消火に必要な二酸化炭素濃度を防護区画内に放出した場合に、人体に対する毒性があり、生命に危険を与えることがあるといわれているモノです。

このため、二酸化炭素 消火設備のうち全域放出方式(火元に向かって放出する個別方式では無い)では、

当該防護区画内(二酸化炭素が噴出され、同時にシャッター等で閉鎖される区画内という意味)にいる人を

予め退避させるための放出警報、放出表示灯の設置、あるいは放出された二酸化炭素を防護区画外に排気するために必要な排気設備の設置など、

技術基準、通知等によって、安全対策は講じられてきています。

しかしながら、今回のような事故は、最近でも、昨年12月に名古屋で、今年1月に東京都港区でも発生しています。

平成7年12月には、東京池袋のビルに設けられた立体駐車場において、誤って二酸化炭素が放出され、

当該防護区画外の隣接する部分に二酸化炭素が漏えいし、その結果死傷者を出す事故が発生しています。

火災時以外に二酸化炭素が放出される等により、死傷者を出す事故の発生が散見されると消防庁も注意を促しています。

この誤ってという事故が、故意に何者かの作為によるモノなのかは分かっていませんが、

注意しなければならないのは、不意に消火動作が始まる可能性があり得ること、

その場合、直ぐに屋外へ避難しなければ危ないと言うことです。

手動で操作した場合でも、

作動にあたっては注意を促す警報が流れますので、即座にその場から退避することが重要です。

東京消防庁から出されている注意喚起のパンフレットです。

二酸化炭素消火設備の安全対策について

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